財務・会計 ~H26-8 連結会計(1)持分法~

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今回は、「財務・会計 ~H26-8 連結会計(1)持分法~」について説明します。

 

平成27年4月1日以降に開始となる事業年度から「連結財務諸表」の表示科目の名称が変更となっていますので、ご注意ください。

  • 連結貸借対照表
    • 少数株主持分→非支配株主持分
  • 連結損益計算書
    • 少数株主損益調整前当期純利益→当期純利益
    • 少数株主利益→非支配株主に帰属する当期純利益
    • 当期純利益→親会社株主に帰属する当期純利益

 

目次

財務・会計 ~平成26年度一次試験問題一覧~

平成26年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

連結会計

連結財務諸表を作成するにあたっては、子会社には「連結法」を適用し、非連結子会社及び関連会社には「持分法」を適用します。

今回は、試験問題で問われている「持分法」を中心に説明しますが、できるだけ「連結法」と「持分法」の違いを分かるように説明していきたいと思います。

 

子会社と関連会社の違い

子会社の定義は「連結財務諸表に関する会計基準」において、関連会社の定義は「持分法に関する会計基準」において明記されています。さらに「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」の中で、さらに詳細な区分方法を規定しています。

 

子会社と関連会社の区分

子会社と関連会社の区分は非常に複雑ですが、基本的には、子会社の場合は「意思決定機関を支配していること」、関連会社の場合は「方針の決定に重要な影響を与えることができること」という考え方に従っています。

 

子会社
  • 方針の決定を支配することができること
  • 過半数(50%超)の議決権を所有している場合
  • 40%以上50%以下の議決権を所有していて、意思決定機関を支配していること(様々な条件あり)
関連会社
  • 方針の決定に重要な影響を与えることができること
  • 20%以上の議決権を所有している場合
  • 15%以上20%未満の議決権を所有していて、意思決定機関に重要な影響を与えることができること(様々な条件あり)

 

持分法

持分法は、「持分法に関する会計基準」において規定されています。

持分法とは、投資会社が被投資会社の資本及び損益のうち投資会社に帰属する部分(発行済議決権株式などの持分比率により算定された金額)の変動に応じて、その投資の額を連結決算日ごとに修正する方法をいい、非連結子会社及び関連会社に対する投資に対して適用されます。

持分法では、子会社の財務諸表から、自社に帰属する部分(発行済議決権株式などの持分比率により算定された金額)だけを加算して連結財務諸表を作成していきます。

一方、連結法では、自社(親会社)と子会社の財務諸表を合算して、自社に帰属しない部分を控除する方法で連結財務諸表を作成していきます。

連結財務諸表の作成過程は異なりますが、発行済議決権株主の持分比率が同じ場合は、結果として、連結法でも持分法でも、連結損益計算書の当期純利益と貸借対照表の資本(純資産)の金額は同額となります。

 

連結財務諸表の事例

連結法と持分法により作成する「連結損益計算書」と「連結貸借対照表」の例を以下に示します。

 

前提条件

  • 自社の利益等は一切発生していない(違いを分かりやすくするため)
  • 被投資会社の「発行済議決権株式の40%」を保有している。

 

連結損益計算書(連結法と持分法)

 

個別損益計算書

自社(投資会社)と子会社または関連会社(被投資会社)の個別損益計算書(例)を以下に示します。

 

連結損益計算書

左に「被投資会社」を「子会社」とした場合の連結法による連結損益計算書を、右に「被投資会社」を「関連会社」とした場合の持分法による連結損益計算書です。

連結法では、自社(親会社)と子会社の財務諸表を合算して、自社に帰属しない部分を控除する方法で連結財務諸表を作成していきますが、持分法では、子会社の財務諸表から、自社に帰属する部分(発行済議決権株式などの持分比率により算定された金額)だけを加算して連結財務諸表を作成していく。というイメージが具体的にわかると思います。

「連結法」では、「自社(親会社)」と「子会社」の損益計算書を合算した後、「当期純利益」の直前で自社が保有してない株式60%に相当する他人の株主利益を控除しています。

「持分法」では、「自社」の損益計算書を基に、自社が保有している株式40%分の利益を「営業外収益(持分法による投資利益)」として加算します。

連結財務諸表の作成過程は異なりますが、発行済議決権株主の持分比率が同じ場合は、結果として、連結法でも持分法でも、連結損益計算書の当期純利益は「12億円」で同額となります。

 

連結貸借対照表(連結法と持分法)

 

個別貸借対照表

自社(投資会社)と子会社または関連会社(被投資会社)の個別貸借対照表(例)を以下に示します。

子会社または関連会社(被投資会社)の個別貸借対照表では、上述の「当期純利益:30億円」が利益剰余金に加算されている状態です。

 

 

連結貸借対照表

左に「被投資会社」を「子会社」とした場合の連結法による連結貸借対照表を、右に「被投資会社」を「関連会社」とした場合の持分法による連結貸借対照表です。

連結法では、自社(親会社)と子会社の財務諸表を合算して、自社に帰属しない部分を控除する方法で連結財務諸表を作成していきますが、持分法では、子会社の財務諸表から、自社に帰属する部分(発行済議決権株式などの持分比率により算定された金額)だけを加算して連結財務諸表を作成していく。というイメージが具体的にわかると思います。

「持分法」では、損益計算書において「持分法による投資利益」として計上した「12億円」が「関係会社株式」と「利益剰余金」に加算されているのが直感的に分かると思いますが、「連結法」の方が少し分かりづらいと思いますので、以下の表で少し補足します。

自社の持分(40%) 他人の持分(60%)

子会社の資本金
(200億円)

関係会社株式と相殺
(80億円)
少数株主持分に計上
(120億円)
子会社の利益剰余金
(30億円)
利益剰余金に計上
(12億円)
少数株主持分に計上
(18億円)

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成26年度 第8問】

投資会社が被投資会社の財務状態を投資会社の財務諸表に反映するための会計方法に持分法がある。持分法に関する記述として、最も適切なものはどれか

 

ア 持分法適用会社における少数株主損益は、損益計算書上、当期純利益の直前で加算あるいは控除される。
イ 持分法適用会社の資産と負債は投資会社の資産と負債に合算される。
ウ 持分法適用会社の純資産のうち投資会社に帰属する部分だけが投資会社の純資産となる。
エ 持分法適用会社の当期純利益は、その全額が投資会社の当期純利益となる。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

 

(ア) 不適切です。

「少数株主損益」は、連結法により子会社(被投資会社)との連結損益計算書を作成する際に表示される区分(投資会社に帰属しない部分の損益)であり、持分法適用会社との連結損益計算書では計上されません。

なお、「少数株主損益」は損益計算書上において、当期純利益の直前で加算あるいは控除されるため、選択肢の記述の後半部分は適切です。

 

連結損益計算書の例

 

(イ) 不適切です。

持分法により連結貸借対照表を作成する際には、持分法適用会社の資産と負債は投資会社の資産と負債には合算しないため、選択肢の記述は不適切です。

 

連結貸借対照表の例

 

(ウ) 適切です。

持分法により連結貸借対照表を作成する際には、持分法適用会社(被投資会社)の純資産のうち、投資会社に帰属する部分(発行済議決権株式などの持分比率により算定された金額)だけを投資会社の純資産に加算するため、選択肢の記述は適切です

 

連結貸借対照表の例

 

(エ) 不適切です。

投資会社の当期純利益は、持分法適用会社(被投資会社)の当期純利益のうち、投資会社に帰属する部分(発行済議決権株式などの持分比率により算定された金額)だけが投資会社の持分となるため、選択肢の記述は不適切です。

例えば、投資会社が被投資会社の発行済議決権株式を「40%」保有していて、被投資会社が「30億円」の当期純利益を計上した場合、投資会社の持分は「30億円 × 40% = 12億円」となり、連結損益計算書に営業外収益として「持分法による投資損益」として計上されます。

 

連結損益計算書の例

 

答えは(ウ)です。


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