財務・会計 ~H27-3 銀行勘定調整表(1)~

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今回は、「財務・会計 ~H27-3 銀行勘定調整表(1)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成27年度一次試験問題一覧~

平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

銀行勘定調整表 -リンク-

一次試験に向けて「銀行勘定調整表」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

「当座預金」の金額不一致

決算のタイミングで、「企業の当座預金勘定」と「金融機関から発行された当座預金口座の残高証明書」が一致するかを確認する必要があります。

「企業の当座預金勘定」と「金融機関の当座預金口座の残高」が一致しなかった場合は、その原因を明らかにして、必要に応じて修正仕訳などの対応を実施する必要があります。

「企業の当座預金勘定」と「金融機関の当座預金口座の残高」が一致しなくなる原因は様々ですが、その原因により修正仕訳が必要なものと必要でないものに分類することができます。

 

修正仕訳が必要なもの

企業側で当座預金勘定の修正仕訳が必要となる主な原因には以下のようなものがあります。

 

銀行連絡未通知

金融機関から、当座預金口座の増減について連絡を受けていなかった状態のことを「銀行連絡未通知」といいます。

企業としては、金融機関から連絡を受けておらず、当然ながら仕訳は行っていないため、当座預金の増減に関する仕訳を実施する必要があります。

 

誤記入

期中に実施した仕訳において、勘定科目や金額を誤っていた状態のことを「誤記入」といいます。

「期中に行った誤った仕訳」と「本来やるべきであった仕訳」の差額で修正仕訳を実施する必要があります。

 

未渡小切手

取引先に振り出したはずが、渡し忘れなどの原因により手元に残っている状態の小切手を「未渡小切手」といいます。

企業としては、小切手を振り出した(と勘違いしている)時点で当座預金を減少する仕訳をしていますが、実際には小切手を取引先に渡していないので、小切手の振り出しに関する仕訳を取り消す修正仕訳を実施する必要があります。

なお、当該年度に支払うべき費用を支払っていない状況となるため、「未払金」または「未払費用」などの適切な勘定科目で計上する必要があります。

 

修正仕訳が必要でないもの

企業側で当座預金勘定の修正仕訳が必要でない主な原因には以下のようなものがあります。
企業側で当座預金勘定の修正仕訳をしないものは、時がたてば、金融機関側で当座預金口座の金額に反映されるものです。

 

時間外預入

金融機関の営業時間外に、夜間金庫などに現金を預け入れた場合、企業としては現金を預け入れた時点で仕訳を行いますが、金融機関としては翌営業日に当座預金口座への入金処理が行われるため、それまでの間、企業の当座預金勘定と金融機関の当座預金口座の金額が一致しなくなります。

企業としては現金を預け入れた時点で、当座預金を増加する仕訳をしていますので、決算日現在での金額が一致しなくても、修正仕訳を実施する必要はありません

 

未取立小切手

取引先から振り出された小切手の取り立てを金融機関に依頼したが、金融機関が取引先に取り立てていない状態の小切手を「未取立小切手」といいます。

企業としては、金融機関に取引先から振り出された小切手の取り立てを依頼した時点で当座預金を増加する仕訳をしていますので、決算日現在での金額が一致しなくても、修正仕訳を実施する必要はありません

 

未取付小切手

小切手を振り出した取引先が金融機関で換金していない(未呈示)状態の小切手を「未取付小切手」といいます。

企業としては、小切手を振り出した時点で当座預金を減少する仕訳をしていますので、決算日現在での金額が一致しなくても、修正仕訳を実施する必要はありません

 

銀行勘定調整表

「企業の当座預金勘定」と「金融機関の当座預金口座の残高」を一致させるための調整は、「銀行勘定調整表」で整理します。

「企業の当座預金勘定」と「金融機関の当座預金口座の残高」が一致しなかった場合、企業側で当座預金勘定に対して修正仕訳をする場合と、金融機関側の当座預金口座に反映されるのを待ち、修正仕訳をしない場合があります。

当座預金勘定に対して修正仕訳をする場合は企業の当座預金勘定残高(表の左列)で加減算し、当座預金勘定に対して修正仕訳をしない場合は金融機関の当座預金口座残高(表の右列)で加減算します。

最終的に、最下行の金額は必ず一致します。(しない場合はどこかが間違えています。)

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成27年度 第3問】

決算日現在の当店の当座預金勘定の残高は339,000円であったが、銀行から受け取った残高証明書と一致しなかったので、原因を調査したところ、次の(1)~(3)の事実が判明した。

 

(1) 福島商店に仕入代金として振り出した小切手50,000円が、決算日現在では銀行に未呈示であった。
(2) 得意先宮城商店から売掛金の支払いとして当座預金口座に71,000円が振り込まれていたが、決算日までに通知が届いていなかった。
(3) 販売手数料34,000円の入金を43,000円と誤って記帳していた。

このとき、当座預金の残高として最も適切なものはどれか。

 

ア 351,000円
イ 401,000円
ウ 409,000円
エ 419,000円

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「銀行勘定調整表」に関する問題です。

(1)未取付小切手

福島商店に振り出した小切手が銀行に未呈示の状態であるため「未取付小切手」です。

企業としては、小切手を振り出した時点で、当座預金を減少する仕訳をしていますので、決算日現在で取引先から未呈示だとしても、修正仕訳を実施する必要はありません

 

期中に行った仕訳
借方 貸方
仕入 50,000円 当座預金 50,000円

 

修正仕訳

なし

 

(2)銀行連絡未通知

得意先宮城商店から振り込まれたことについて金融機関から連絡を受けていなかったため「銀行連絡未通知」です。

金融機関から連絡を受けていないため、当然ながら期中に仕訳は行っていません。
決算日現在で事実が判明した時点で、当座預金の増減に関する修正仕訳を実施する必要があります

 

期中に行った仕訳

仕訳なし

 

修正仕訳
借方 貸方
当座預金 71,000円 売掛金 71,000円

 

(3) 誤記入

期中に実施した仕訳の金額が誤っていたため「誤記入」です。

「誤記入」の場合は、「期中に行った誤った仕訳」と「本来やるべきであった仕訳」の差額で修正仕訳を実施します

 

期中に行った仕訳(誤った仕訳)
借方 貸方
当座預金 43,000円 販売手数料 43,000円

 

本来やるべきだった仕訳
借方 貸方
当座預金 34,000円 販売手数料 34,000円

 

修正仕訳
借方 貸方
販売手数料 9,000円 当座預金 9,000円

 

企業の当座預金勘定の修正

当座預金勘定の帳簿残高に対して「(1)~(3)」の事実に伴う修正仕訳を実施した結果、最終的な企業の当座預金勘定の残高は、以下の通りとなります。

 

項目 当座預金勘定
当座預金勘定の帳簿残高 339,000円
(1)未取付小切手 修正仕訳なし
(2)銀行連絡未通知 +71,000円
(3)誤記入 -9,000円
修正仕訳後の残高 401,000円

 

答えは(イ)です。


コメント

  1. たくや より:

    (1)の未取付小切手の仕訳はいらないというのはわかるのですが、当座預金の残高との差額はあるのではないでしょうか。
    未取付の5万円分が当座預金に多く残っていることにはならないのでしょうか。

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