今回は、「財務・会計 ~H22-10 最適セールスミックス(1)~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成22年度一次試験問題一覧~
平成22年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
最適セールスミックス
「最適セールスミックス」とは、限られた経営資源で最大限の利益を得るための製品の販売比率(製造比率)を求めることであり、「設備の最大稼働時間」や「従業員による労働時間数」など複数の制約条件がある場合は「線形計画法」を用いて利益が最大となる販売比率(製造費率)を求めていきます。
線形計画法
「線形計画法」は、「最適なセールスミックス」を求めるための手法であり「リニア・プログラミング(LP)」とも呼ばれることがあります。
ちなみに、「線形計画法」ではグラフを描いて利益が最大となる点を求めますが、グラフ上に描かれる関数式がすべて直線(線形)で表されるため「線形計画法」と呼ばれています。
以下に事例のグラフを示しますが、様々な制約条件を直線(線形)で示した場合に、それぞれの直線(線形)の交点である「点A~点E」のいずれかが利益を最大とする点となることを示しています。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成22年度 第10問】
製品X(価格600円、単位あたり変動費360円)と製品Y(価格1,000円、単位あたり変動費700円)の実行可能な販売数量の組み合わせは下図のとおりである。利益を最大にする販売数量の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
[解答群]
ア Xの販売数量:0 Yの販売数量:3,000
イ Xの販売数量:1,500 Yの販売数量:3,000
ウ Xの販売数量:2,250 Yの販売数量:2,250
エ Xの販売数量:3,000 Yの販売数量:1,250
オ Xの販売数量:4,000 Yの販売数量:500
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
利益を最大にする販売数量の組み合わせを求める最適セールスミックスに関する出題ですが、全ての選択肢における利益を算出して正解を導いていきます。
各製品の単位当たりの利益
各製品の単位当たりの利益(限界利益)を算出します。
- 製品Xの限界利益 = 600円 - 360円 = 240円
- 製品Yの限界利益 = 1,000円 - 700円 = 300円
今回の問題を解くにあたっては知らなくても解くことができましたが、企業としてより多くの利益を得るための鉄則は、「限界利益」の高い製品を「限界利益」の低い製品よりも優先して生産及び販売することです。
今回の問題では、製品Yの方が製品Xよりも限界利益が高いため、製品Xよりも製品Yの販売数量を増やした方がより多くの利益を得ることができるということを示しています。
製品の販売数量の組み合わせにおける利益の計算
製品の販売数量の組み合わせにより得られる利益は以下の計算式から求めることができます。
- 製品Xの限界利益 × 製品Xの販売数量 + 製品Yの限界利益 × 製品Yの販売数量
上記の計算式により、各選択肢の販売数量の組み合わせにおける利益を算出していきます。
- (ア):240円 × 0個 + 300円 × 3,000個 = 900,000円
- (イ):240円 × 1,500個 + 300円 × 3,000個 = 1,260,000円
- (ウ):240円 × 2,250個 + 300円 × 2,250個 = 1,215,000円
- (エ):240円 × 3,000個 + 300円 × 1,250個 = 1,095,000円
- (オ):240円 × 4,000個 + 300円 × 500個 = 1,110,000円
今回の問題を解くにあたっては知らなくても解くことができましたが、問題文で与えられた図のように「線形計画法」により様々な制約条件を直線で示した場合、それぞれの直線の交点のいずれかが利益を最大とする販売数量の組み合わせとなることを表しています。
つまり、今回の問題では、以下の販売数量の組み合わせのいずれかが利益を最大にする販売数量であることを示しており、全ての組み合わせによる利益を計算しなくても、最初から選択肢(ウ)と(エ)は正解から除外することができます。
- Xの販売数量:0 Yの販売数量:3,000・・・選択肢(ア)
- Xの販売数量:1,500 Yの販売数量:3,000・・・選択肢(イ)
- Xの販売数量:4,000 Yの販売数量:500・・・選択肢(オ)
- Xの販売数量:4,000 Yの販売数量:0・・・選択肢なし
答えは(イ)です。
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