今回は、「財務・会計 ~H22-14-2 MM理論(6)~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成22年度一次試験問題一覧~
平成22年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
MM理論 -リンク-
「MM理論」とは、1958年にフランコ・モディリアーニとマートン・ミラーが提唱した理論であり、完全市場では企業の資本構成および配当政策は企業価値に影響を与えないというものです。
「MM理論」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。
- H29-17 MM理論(1)
- H27-13 MM理論(2)
- H26-15-2 MM理論(3)
- H24-17-2 MM理論(4)
- H23-17 MM理論(5)
- R1-22 MM理論(7)
- R2-24 MM理論(8)
MM理論のポイント
「MM理論」の問題を解くうえでポイントとなる3点を以下に示します。
以下のポイントを押さえておけば、一次試験に出題される問題の多くは解くことができるはずです。
MM理論の問題を解くためのポイント
- 法人税が存在しない場合、企業の資本構成(負債と株主資本の割合)が変わっても企業価値は変わらない。
- 法人税が存在する場合、負債の割合が大きい企業の方が、節税効果が得られるため、負債の割合が少ない企業より、企業価値が高くなる。
- 負債による節税効果は「負債額×法人税率」で算出される。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成22年度 第14問】
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
B社は全額株主資本で事業活動を行っており、営業利益の確率分布は下表のとおりで今後毎期一定である。なお、営業利益は税・利益支払前利益(EBIT)に等しいものとする。
(設問2)
B社と資産内容が全く同じで、同一の事業を営むC社が存在するものとする。したがって、C社が生み出す毎期のEBITの確率分布は、B社と全く同一である。ただし、C社とB社では資本構成が異なっており、C社は5,000万円の負債を利用している。この負債の利子率は4%である。この市場において、法人税のみが存在しその実効税率が40%であるとすれば、B社の企業価値とC社の企業価値との差はどのようになるか、最も適切なものを選べ。
ア C社の企業価値はB社と変わらない。
イ C社の企業価値はB社より200万円小さい。
ウ C社の企業価値はB社より2,000万円大きい。
エ C社の企業価値はB社より5,000万円大きい。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答(設問2)
今回の問題は、MM理論のポイント「2」と「3」に基づき解いていきます。
MM理論の問題を解くためのポイント
- 法人税が存在しない場合、企業の資本構成(負債と株主資本の割合)が変わっても企業価値は変わらない。
- 法人税が存在する場合、負債の割合が大きい企業の方が、節税効果が得られるため、負債の割合が少ない企業より、企業価値が高くなる。
- 負債による節税効果は「負債額×法人税率」で算出される。
MM理論が成り立つ条件の下で法人税が存在する場合は、負債の節税効果(負債額×税率)の分だけ、企業価値が高くなります。
問題文の「完全市場において」というキーワードが「MM理論が成り立つ条件の下で」ということを表しています。
B社とC社は、資産内容、事業内容、毎期のEBITの確率分布が全く同じですが、資本構成のみが異なっています。C社は5,000万円の負債を利用しているため、C社の企業価値はB社より負債の節税効果の分だけ高くなります。
- 負債の節税効果 = 負債額(5,000万円)× 実効税率(40%)= 2,000万円
答えは(ウ)です。
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