財務・会計 ~H26-20-2 株式指標(1)~

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今回は、「財務・会計 ~H26-20-2 株式指標(1)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成26年度一次試験問題一覧~

平成26年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

株式指標 -リンク-

一次試験に向けて「株式指標」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

PER(株価収益率/Price Earning Ratio)

「PER(株価収益率)」とは、企業の収益性と株価を比較して、投資家が株価の妥当性を判断するために用いられる指標です。

「PER(株価収益率)」では、「株価」が「1株当たり当期純利益(EPS)」の何倍で取引されているかを確認することができ、業界平均と比較してその数値が高ければ当該企業の株価が割高であり、低ければ当該企業の株価が割安であると判断されます。

 

 

「PER(株価収益率)」は、発行済み株式全体で捉えて、以下の計算式で算出することもできます。

 

 

EPS(1株当たり当期純利益/Earning Per Share)

「EPS(1株当たり当期純利益)」とは、会社の収益性を見る指標であり、数値が高いほどその企業の収益力が高いことを示します

「EPS(1株当たり当期純利益)」が上昇すると「PER(株価収益率)」は低くなるため、株価が割安であると判断されます。

 

 

PBR(株価純資産倍率/Price Book Value Ratio)

「PBR(株価純資産倍率)」とは、企業の資産規模と株価を比較して、投資家が株価の妥当性を判断するために用いられる指標です。

「PBR(株価純資産倍率)」が1倍の場合、当該企業の株価が解散価値と等しいことを示しています。さらに、「PBR」が1倍より小さい場合は、資産価値が株価よりも安いことを示しているため、「PBR」が低い数値で推移している企業は買収の対象とされやすくなります

 

 

「PBR(株価純資産倍率)」は、発行済み株式全体で捉えて、以下の計算式で算出することもできます。

 

 

BPS(1株当たり純資産/Book Value Per Share)

「BPS(1株当たり純資産)」とは、会社の安定性を見る指標であり、数値が高いほどその企業の安定性が高いことを示しています

「BPS(1株当たり純資産)」が上昇すると「PBR(株価純資産倍率)」は低くなるため、株価が割安であると判断されます。

 

 

ROE(自己資本当期純利益率/Return On Equity)

「ROE(自己資本当期純利益率)」とは、「純資産(株主資本、自己資本)」に対する「当期純利益(税引後当期純利益)」の比率を示す指標であり「自己資本利益率」「株主資本利益率」とも呼ばれます。

「ROE(自己資本当期純利益率)」は、企業の収益力を示す財務指標の一つであり、自己資本によってどれだけ効率的に利益を生み出すことができているかを表す重要な指標であり、数値が高いほど収益性が高いことを示しています。

 

 

企業は、「株主資本(自己資本)」と「負債(他人資本)」で構成される「資本」を投下して事業を行い、その結果として「営業利益」を獲得します。さらに、「営業利益」から「他人資本」の債務者に対して「利息」を支払った後の残額を「経常利益」といい、「経常利益」から法人税等を納付した後の残額を「税引後当期純利益」といいます。

したがって、債務者への支払額や法人税等の納付額を控除した「税引後当期純利益」が「株主資本(自己資本)」を元手にして獲得した純粋な利益であり、株主に対する配当金の源泉となるため、「税引後当期純利益」を「株主資本(自己資本)」で除して求めた「ROE(自己資本利益率)」は、配当金を受け取る株主にとって非常に重要な指標です。

 

「ROE(自己資本当期純利益率)」は、この後説明する「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」を用いて、以下の公式でも算出することができます。

 

 

ROEの分解による理解

上述の通り、「ROE(自己資本当期純利益率)」は「純資産(株主資本、自己資本)」に対する「当期純利益(税引後当期純利益)」の比率として表されますが、「収益性」と「効率性」と「安全性」の指標に分解すると、「ROE(自己資本当期純利益率)」を高めるためには「収益性を高める」「効率性を上げる」「負債の割合を増やす」という3つの方法があることが分かります。

 

 

財務レバレッジ

上図で出てきた「財務レバレッジ」とは安全性を示す財務指標であり、自己資本比率の逆数(総資本÷自己資本)で求められます。総資本に占める自己資本が小さくなるほど高くなるため、銀行からの借入金などの負債を増やすほど、財務レバレッジの数値が高くなります

一般的に資本構成における負債の割合が高くなると倒産リスクが高まり経営上好ましくないと考えがちですが、借入金等により調達した資本で利益を上げることができれば、企業としては良い経営状態にあるということになります。

ここで注意が必要なのは、ROEを高くするためには、ただ単に借入金を増やせばよいのではなく、借入金により調達した資本で売上や当期純利益を高める必要があるということです。

 

「財務レバレッジ」の「レバレッジ」とは、日本語では「てこの原理」のことを示しており、少ない資金で大きな利益を手に入れるという意味で使われます。

つまり、少ない資金(自己資本)でも借入金(他人資本)を活用することで、事業の効率性を高める(大きな利益を手に入れる)ことができるということを示しています。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。
(設問1)(設問3)の説明は「H26-20-1 企業価値(1)」と「H26-20-3 企業価値(2)」にアクセスしてください。

【平成26年度 第20問】

企業価値評価に関する次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

企業価値評価では、一般的に①PBRやPER などの諸比率を用いた[   ]に代表されるマーケット・アプローチと呼ばれる手法のほか、企業の期待キャッシュフローの割引現在価値によって評価額を推計する②DCFアプローチ、企業の保有する資産や負債の時価などから企業価値を評価するコスト・アプローチといった手法も用いられている。

 

(設問2)

文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア PBRとは、株価を1株当たり売上総利益で除して求められる。
イ PBRとは、株価を1株当たり売上高で除して求められる。
ウ PBRとは、株価を1株当たり純資産で除して求められる。
エ PBRとは、株価を1株当たり当期純利益で除して求められる。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答(設問2)

「PBR(株価純資産倍率)」とは、企業の資産規模と株価を比較して、投資家が株価の妥当性を判断するために用いられる指標です。

「PBR(株価純資産倍率)」が1倍の場合、当該企業の株価が解散価値と等しいことを示しています。さらに、「PBR」が1倍より小さい場合は、資産価値が株価よりも安いことを示しているため、「PBR」が低い数値で推移している企業は買収の対象とされやすくなります

 

 

(ア) 不適切です。

「株価を1株当たり売上総利益で除して求められる」という株式指標はありません。

 

(イ) 不適切です。

「株価を1株当たり売上高で除して求められる」という株式指標はありません。

 

(ウ) 適切です。

「PBR(株価純資産倍率)」は、「株価を1株当たり純資産で除して求められる」株式指標です。

 

(エ) 不適切です。

「株価を1株当たり当期純利益で除して求められる」のは「PER(株価収益率)」です。

 

答えは(ウ)です。


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