今回は、「財務・会計 ~H24-13 キャッシュ・フロー計算書(6)営業CF~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成24年度一次試験問題一覧~
平成24年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
キャッシュ・フロー計算書(一次試験) -リンク-
一次試験に向けて「キャッシュ・フロー計算書」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- キャッシュ・フロー計算書のまとめ
- キャッシュ・フロー計算書(1)営業CF
- キャッシュ・フロー計算書(2)投資CF
- キャッシュ・フロー計算書(3)財務CF
- R5-9 キャッシュ・フロー計算書(13)
- R3-9 キャッシュ・フロー計算書(12)
- R2-13 キャッシュ・フロー計算書(11)
- H30-12 キャッシュ・フロー計算書(10)
- H29-13/H27-9 キャッシュ・フロー計算書(4)営業CF
- H28-9-1 キャッシュ・フロー計算書(5)
- H25-4 キャッシュ・フロー計算書(8)資金の範囲
- H24-4 キャッシュ・フロー計算書(9)営業CF
- H22-6 キャッシュ・フロー計算書(7)投資CF
キャッシュ・フロー計算書(二次試験) -リンク-
二次試験(事例Ⅳ)に向けた「キャッシュ・フロー計算書」の記事は、以下のページに整理していますので、アクセスしてみてください。
キャッシュ・フロー計算書
「キャッシュ・フロー」とは「キャッシュ(資金)」の「フロー(流れ)」であり「資金の収入・支出」を示しています。
「キャッシュ・フロー計算書」は、企業の一会計期間における「資金の収入・支出」の状況を報告する財務諸表であり、「貸借対照表」や「損益計算書」と同様に、株主を始めとした利害関係者が、企業の経営状況を知るために重要な情報源です。
「キャッシュ・フロー計算書」では「資金の収入・支出」を「営業活動」と「投資活動」と「財務活動」に区分して表示します。
- 営業活動によるキャッシュ・フロー
- 投資活動によるキャッシュ・フロー
- 財務活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フロー
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、企業が本来の営業活動によってどれだけの現金を稼いだかを表しているため「プラス」であるべきです。
仮に、「営業活動によるキャッシュ・フロー」が「マイナス」となっている場合は、企業活動を継続するための資金が減少しており、金融機関からの借入金等により経営を継続している状況となっていることを示しているため、早期に改善しないと資金が枯渇してしまい、倒産に追い込まれてしまいます。
営業活動によるCFに区分される項目
「営業活動によるキャッシュ・フロー」に区分される主な項目を以下に示します。
- 商品及び役務の販売による収入
- 原材料、商品及び役務の購入による支出
- 人件費支出
- その他の営業支出
- 投資活動や財務活動に該当しないキャッシュフロー
(災害による保険金収入、損害賠償金の支払額、法人税等の支払額など)
営業活動によるCFの表示方法
「営業活動によるキャッシュ・フロー」の表示方法には、「直接法」と「間接法」の2種類の方法があり、継続適用することを条件に選択適用が認められています。
「間接法」は企業の経営分析に利用しやすいというメリットがあるため、中小企業診断士の試験で頻繁に出題される「間接法」についてのみ紹介することとします。
営業活動によるキャッシュ・フロー(間接法)
表中の「加減算」欄の見方は以下の通りです。
営業活動によるCF(間接法)の算出方法
「間接法」では、損益計算書の「税引前当期純利益」に「Step1.非資金損益項目の調整」「Step2.営業外損益と特別損益の調整」「Step3.営業活動に関連する資産と負債の増減に関する調整」を行って「小計」を算出します。
その後、「Step4.投資活動や財務活動に該当しないキャッシュ・フローの調整」を行って「営業活動によるキャッシュ・フロー」を算出します。
一次試験では「営業活動に関連する資産(売上債権、棚卸資産)および負債(仕入債務)の増減により営業活動によるキャッシュ・フローが増加するのか、減少するのか」という観点で出題されることが多く、二次試験(事例Ⅳ)では「財務諸表から営業活動によるキャッシュ・フローそのものを算出して問題点を指摘すること」が出題されます。
営業活動によるキャッシュ・フロー(間接法)
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成24年度 第13問】
次のデータに基づいて、営業キャッシュフローを求めた場合、最も適切な金額を下記の解答群から選べ。
売上高:100百万円
現金支出を伴う費用:50百万円
減価償却費:15百万円
実効税率:40%
[解答群]
ア 21百万円
イ 35百万円
ウ 36百万円
エ 45百万円
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
営業キャッシュフロー(営業CF)を求める公式を以下に示します。
営業キャッシュフローは、損益計算上の損益ではなく「キャッシュ(現金)」の出入りを表すため、実際には現金支出しない「減価償却費」を加算することで求めることができます。
営業キャッシュフローを算出する公式としては、上述の式を変形した以下の算出方法もあります。公式の違いをよく理解しておかないとケアレスミスを起こしやすい箇所なので、注意してください。
上記の式は「税引前営業利益」を以下の通り分解することで導くことができます。
当然ながら、どちらの公式を使っても答えは同じになりますが、問題文によってはどちらかの公式しか適用できない場合もあるため、両方の公式を使いこなせるようにしておく必要があります。
上述の通り、営業キャッシュフローを算出するには2つの公式があり、どちらの公式でも結果は同じとなりますが、念のため両方の公式で計算した結果を以下に示します。
今回の問題では、どちらの公式でも計算することができますが、問題文によってはどちらかの公式しか適用できない場合もあるため、両方の公式を使いこなせるようにしておく必要があります。
公式1
営業CF =(100百万円 - 50百万円 - 15百万円)×(1-40%)+ 15百万円 = 36百万円
公式2
営業CF =(100百万円 - 50百万円)×(1-40%)+ 15百万円 × 40% = 36百万円
答えは(ウ)です。
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