今回は、「財務・会計 ~H24-18 設備投資の経済性計算(12)投資案の採否~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成24年度一次試験問題一覧~
平成24年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
設備投資の経済性計算(一次試験) -リンク-
本ブログにて「設備投資の経済性計算(一次試験)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- R5-17 設備投資の経済性計算(19)IRR
- R3-18 設備投資の経済性計算(17)年間の税引後CF
- R3-19 設備投資の経済性計算(18)NPV・PI
- R2-23 設備投資の経済性計算(16)各期の税引後CF
- R1-23 設備投資の経済性計算(15)意思決定モデル
- H30-22 設備投資の経済性計算(14)NPV・IRR
- H29-15 設備投資の経済性計算(1)各期の税引後CF
- H28-17-1 設備投資の経済性計算(2)意思決定モデル
- H28-17-2 設備投資の経済性計算(3)投資により得られるCF
- H28-17-3 設備投資の経済性計算(4)例題(法人税を考慮しない場合)
- H28-17-4 設備投資の経済性計算(5)例題(法人税を考慮する場合)
- H28-17-5 設備投資の経済性計算(6)例題(NPV・PI)
- H28-17-6 設備投資の経済性計算(7)IRR
- H27-16 設備投資の経済性計算(8)NPV
- H26-16 設備投資の経済性計算(9)NPV・IRR
- H25-17 設備投資の経済性計算(11)意思決定モデル
- H25-18 設備投資の経済性計算(10)回収期間法
- H22-15 設備投資の経済性計算(13)
設備投資の経済性計算(二次試験) -リンク-
本ブログにて「設備投資の経済性計算(二次試験)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
正味現在価値法(NPV)
正味現在価値法(NPV)では、以下の基準で投資の可否を判断します。
正味現在価値が大きいほど、より良い投資案ということになります。
内部収益率法(IRR)
内部収益率法(IRR)では、以下の基準で投資の可否を判断します。
内部収益率が高いほど、より良い投資案ということになります。
資本コストとは、企業が存続する限り最低限発生するコストであり、企業としては資本コストよりも収益性の低いプロジェクトに投資すべきではありません。
回収期間法
回収期間法では、以下の基準で投資の可否を判断します。
回収期間が短いほど、より良い投資案ということになります。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成24年度 第18問】
Y社では4つの投資案について採否を検討している。投資案はいずれも初期投資額として2,500 万円を必要とし、投資プロジェクトの耐用年数は5 年である。また、Y社の資本コストは8%であり、プロジェクト期間中に追加の資金は必要としない。4つの投資案の判定基準となるべきデータは以下のとおりである。Y社の投資可能な資金が5,000 万円に制限されているとき、企業価値増大の観点からY社が採択すべき投資案の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。
投資案 甲 乙 丙 丁 NPV(万円) 280 300 180 -25 IRR(%) 9 11 10 6 回収期間(年) 3 4 2 2
[解答群]
ア 甲と乙
イ 甲と丙
ウ 乙と丙
エ 丙と丁
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
Y社の投資可能な資金が「5,000 万円」に制限されている状況で、甲乙丙丁のいずれの投資案も「2,500 万円」の初期投資額を必要としています。つまり、甲乙丙丁の中から2つの投資案を採択する(実行可能である)ということを示しています。
投資案「丁」について
まず最初に投資案「丁」について確認します。
投資案「丁」は、正味現在価値(NPV)がマイナスであり、内部収益率(IRR)がY社の資本コスト(8%)を下回っているため、投資案として採用されることはありません。
これで、残りの投資案「甲乙丙」の3案から2つを採択すればよいことになります。
投資案「甲乙丙」について
続いて、「設備投資の意思決定モデル」で投資案「甲乙丙」を順位付けしてみます。
投資案 | 甲 | 乙 | 丙 |
NPV(万円) | 2位 | 1位 | 3位 |
IRR(%) | 3位 | 1位 | 2位 |
回収期間(年) | 2位 | 3位 | 1位 |
なんとなく「乙」は優れた投資案のような気がしますが、これという決め手がない状況です。
ここでポイントとなるのが、「企業価値増大の観点」というキーワードです。
「企業価値」とは「企業の価値を貨幣金額によって表したもの」であり、キャッシュが多ければ企業価値も高くなります。
つまり、得られるキャッシュフローが多い投資案が企業価値を増大させるということです。
得られるキャッシュフローが一番多くなる投資案を採択するためには、NPVの結果を重視すればよいため、「甲」と「乙」の2つの投資を実行することが一番優れた判断であり、Y社が採択すべき投資案ということになります。
答えは(ア)です。
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