財務・会計 ~H25-16 特殊原価調査(1)~

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今回は、「財務・会計 ~H25-16 特殊原価調査(1)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成25年度一次試験問題一覧~

平成25年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

「原価計算制度」と「特殊原価調査」

「原価計算」は、原価計算基準の中で「原価計算制度」と「特殊原価調査」という2つに分類されています。

 

「原価計算制度」とは、財務諸表を作成するために必要な真実の原価を集計するために、日々発生する原価を継続的に記録していき、個別原価計算、総合原価計算、標準原価計算などの方法により、原価を集計していくことを表しています。

一方で、「特殊原価調査」とは、経営者が様々な意思決定をするために必要な情報として、差額原価、機会原価、付加原価等といった原価情報を算出することを表しています。

 

「原価計算制度」が継続的に実施される原価計算であるのに対して、「特殊原価調査」は必要に応じて実施する原価計算です。

 

特殊原価調査については、原価計算基準の「第1章 2. 原価計算制度」において、以下の通り記述されています。(H28-6-1 製造原価の構造(2)原価計算基準

 

第1章 原価計算の目的と原価計算の一般的基準

2.原価計算制度

  • 広い意味での原価計算には、原価計算制度以外に、意思決定に必要となる差額原価、機会原価、付加原価等を算出することも含まれるが、このような特殊原価調査は原価計算基準には含めない。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成25年度 第16問】

代替案の選択によって金額に差異が生じないコストであり、将来の意思決定に無関連な原価を表すものとして、最も適切なものはどれか。

 

ア 機会原価
イ 限界原価
ウ 裁量可能原価
エ 埋没原価

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

 

(ア)不適切です。

機会原価とは、「ある代替案を採用した際に、もしその代替案を採用しなかったら発生していたとされる原価」のことをいいます。

つまり、代替案の選択によって金額に差異が生じるコストであり、将来の意思決定に関連性のある原価なので、不適切です。

 

機会原価の例題

現在、運転している現行設備を更改して、新規設備を導入することを検討しています。現行設備と新規設備で運転した場合に発生する原価は以下の通りです。
新規設備に更改することで原価はいくら増減しますか。

[原価データ]

現行設備で運転した場合に発生する原価 30百万円
新規設備で運転した場合に発生する原価 20百万円

 

[答え]

「新規設備により運転した場合の原価(20百万円)」から「現行設備により運転した場合の原価(30百万円)」を減算して、「原価は△10百万円減少する」という答えになります。

 

当たり前すぎてあまり意識しないかもしれませんが、ここでいう「現行設備により運転した場合の原価(30百万円)」が、新規設備導入という案を採用しなかった場合には発生していたとされる原価であり、機会原価を意味しています。

 

この例題だけを見ると簡単に見えますが、現行設備の耐用期間が残っていた場合などに発生していたであろう減価償却費や現行設備を処分するときの費用なども機会原価となり、漏れてしまいがちなので注意してください。

 

機会原価は「設備取替投資」で重要なポイントであり「平成29年度二次試験事例Ⅳ 第3問」でも出題されています。
以下のページで説明していますので、よろしければアクセスしてみてください。

 

 

(イ)不適切です。

限界原価とは「生産量が1単位増加した時に増加する原価」のことをいいます。
「売上高-変動費=限界利益」なので「限界原価=変動費」という理解でよいと思います。

限界原価(変動費)は、選択する代替案等によって生産設備や生産方法などの仕組みが変われば変動しますので、不適切です。

 

経済学における限界概念

「限界○○」という言葉は経済学の中で用いられる表現であり、Wikpedia「限界(経済学)」では以下の通り紹介されています。

経済学における限界概念(げんかいがいねん、英: marginal concept)とは、財やサービスなどの変数を微少量だけ増やしたときの、(その変数に依存する)別の変数の追加1単位あたりの増加分もしくは増加率を表す。数学の微分と同じ概念であり、図の上では曲線の傾きで表される。

限界概念を考える際には、財が必要なだけ充分小さい単位に分割できるものと仮定されている

Wikipediaより引用(2017年11月19日現在)

 

(ウ)不適切です。

裁量可能原価とは「管理可能原価」とも呼ばれ、「意思決定者の裁量によって金額を決定することができる原価」のことをいいます。

例えば、事業部制の組織形態を採用している企業では、セグメントの責任者である事業部長が投資案の実行判断をする場合にコントロールできる原価が該当します。

逆に、「裁量不能原価(管理不能原価)」は事業部長がその金額等を決定することができない原価です。例えば、事業部の固定資産に関する減価償却費、固定資産税、前任の事業部長が決定した意思決定による費用及び本社から配賦される共通固定費などが該当します。

裁量可能原価は、意思決定者がコントロールできる原価であり、将来の意思決定に関連性のある原価なので、不適切です。

 

(エ)適切です。

埋没原価は「サンクコスト」とも呼ばれ、「複数の代替案からいずれの案を採用しても影響を受けずに発生する原価」のことをいいます。

つまり、代替案の選択によって金額に差異が生じないコストであり、将来の意思決定に無関連な原価です。

 

答えは(エ)です。


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