財務・会計 ~H25-5 財務指標の計算(7)~

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今回は、「財務・会計 ~H25-5 財務指標の計算(7)~」について説明します。

 

「財務指標」は、二次試験(事例Ⅳ)の第1問(経営分析)で必要となる知識です。
ただし、二次試験(事例Ⅳ)の第1問(経営分析)で必要な「財務指標」は限られているため、あらかじめ確認(事例Ⅳ ~①経営分析~)してから、一次試験の勉強に取り組みましょう。

目次

財務・会計 ~平成25年度一次試験問題一覧~

平成25年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

財務指標の計算 -リンク-

本ブログにて「財務指標の計算」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成25年度 第5問】

次に示す財務諸表に基づいて、以下の設問に答えよ(単位:千円)。

 

<貸借対照表>
X1年度末 X2年度末 X1年度末 X2年度末
流動資産 35,000 29,000 流動負債 16,000 15,000
固定資産 95,000 91,000 固定負債 28,000 20,000
純資産 86,000 85,000
資産合計 130,000 120,000 負債・純資産合計 130,000 120,000

 

<損益計算書>
X1年度末 X2年度末
売上高 180,000 170,000
営業費用 150,000 152,000
 営業利益 30,000 18,000
支払利息 1,000 800
 経常利益 29,000 17,200
固定資産売却損 1,000 200
 税引前当期純利益 28,000 17,000
 法人税等 10,000 4,000
 当期純利益 18,000 13,000

 

(設問1)

収益性の動向に関する説明として最も適切なものはどれか。なお、比率の計算
における総資本は年度末の金額を利用する。

ア 総資本営業利益率:悪化 売上高営業利益率:悪化 総資本回転率:改善
イ 総資本営業利益率:悪化 売上高営業利益率:改善 総資本回転率:改善
ウ 総資本営業利益率:改善 売上高営業利益率:悪化 総資本回転率:改善
エ 総資本営業利益率:改善 売上高営業利益率:改善 総資本回転率:悪化

 

(設問2)

安全性の動向に関する説明として最も適切なものはどれか。

ア 流動比率:悪化 固定長期適合率:悪化 負債比率:改善
イ 流動比率:悪化 固定長期適合率:改善 負債比率:改善
ウ 流動比率:改善 固定長期適合率:悪化 負債比率:改善
エ 流動比率:改善 固定長期適合率:改善 負債比率:悪化

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答(設問1)

選択肢に記載されている経営状況を分析する財務指標を以下に説明します。

 

総資本営業利益率(収益性)

営業利益とは企業本来の営業活動により得られた利益であり、総資本営業利益率は企業の営業活動に関する収益性(利益率)を分析するための指標です。

総資本に対する営業利益の割合で求めることができ、数値が高い方が優れていることを示しています。数値が高い場合は、企業が投下した資本を効率的に運用して利益を生み出していることを意味しており、収益性が高いと判断されますが、数値が低い場合は、営業利益を増やすか総資本を削減するための対策が必要な状態と判断されます。

 

 

売上高営業利益率(収益性)

営業利益とは企業本来の営業活動により得られた利益であり、売上高営業利益率は企業の営業活動に関する収益性(利益率)を分析するための指標です。

売上高に対する営業利益の割合で求めることができ、数値が高い方が優れていることを示しています。数値が高い場合は、企業が本業により利益を生み出す力が強いことを意味しており、収益性が高いと判断されますが、数値が低い場合は、本業により利益を生み出すための改善を企業としての最優先課題として取り組むべき状態だと判断されます。

 

 

総資本回転率(効率性)

総資本回転率は資本の効率性を分析するための指標です。

総資本に対する売上高の割合で求めることができ、数値が高い方が優れていることを示しています。数値が高い場合は、少ない総資本で大きな売上を上げる効率的な資本の運営ができていることを意味しており、効率性が高いと判断されます。

 

 

解答

問題文に与えられている数値に基づき各財務諸表を計算すると以下の通りとなります。

財務指標 X1年度末 X2年度末 収益性の動向
総資本営業利益率 23.08% 15.00% 悪化
売上高営業利益率 16.67% 10.59% 悪化
総資本回転率 1.38回 1.42回 改善

 

答えは(ア)です。

 

考え方と解答(設問2)

選択肢に記載されている経営状況を分析する財務指標を以下に説明します。

 

流動比率(安全性)

流動比率は短期の安全性を分析するための指標です。

流動負債に対する流動資産の割合で求めることができ、数値が高い方が優れていることを示しています。流動比率が100%より低い場合は、1年以内に支払わなければならない負債(流動負債)を返済するだけのお金(流動資産)がないことを意味しており、短期的な支払い能力がなく安全性が低いと判断されます。

 

 

固定長期適合率(安全性)

固定長期適合率は長期の安全性を分析するための指標です。

返済期限が1年以上である固定負債と返済の必要がない自己資本(純資産)に対する固定資産の割合で求めることができ、数値が低い方が優れていることを示しています。固定長期適合率が100%を超える場合は、固定資産の調達を返済期限が1年以内の借入金などの負債で賄っていることを意味するため、資金繰りが厳しく、安全性が低いと判断されます。

 

 

負債比率(安全性)

負債比率は、資本の調達構造を分析するための指標です。

自己資本(純資産)に対する他人資本(流動負債+固定負債)の割合で求めることができ、数値が低い方が優れていることを示していますが、他人資本を活用することで企業の収益性を高めるという「財務レバレッジ」も考慮する必要があるため、ただ単に負債比率の数値を低くするのではなく、自己資本と他人資本のバランスが重要となります。

 

 

「財務レバレッジ」について補足しておきます。

「レバレッジ」とは、日本語では「てこの原理」のことを示しており、少ない資金で大きな利益を手に入れるという意味で使われています。

「財務レバレッジ」は、自己資本比率の逆数(総資本÷自己資本)で求められ、数値が高いほど「借入金」の資本構成比率が高いことを示しています。

つまり、少ない資金(自己資本)でも借入金(他人資本)を活用することで、事業の効率性を高める(大きな利益を手に入れる)ことができます。

 

解答

問題文に与えられている数値に基づき各財務諸表を計算すると以下の通りとなります。

 

財務指標 X1年度末 X2年度末 安全性の動向
流動比率 218.75% 193.33% 悪化
固定長期適合率 83.33% 86.67% 悪化
負債比率 51.16% 41.18% 改善

 

答えは(ア)です。


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