財務・会計 ~H27-6 製造原価の構造(4)原価計算基準~

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今回は、「財務・会計 ~H27-6 製造原価の構造(4)原価計算基準~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成27年度一次試験問題一覧~

平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

製造原価の構造 -リンク-

「製造原価の構造」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

 

 

製造原価の構造

「製造原価」の基本的な考え方は「原価計算基準」に定義されています。

「原価計算基準」は、昭和37年(1962年)に大蔵省企業会計審議会から公表された会計基準であり「企業会計原則」の一環をなす原価計算の実践規範とされています。

 

製造原価の分類

「製造原価」は、「費用の発生形態」「製品との関連性」「総合原価計算の場合」などの観点から、分類方法が異なります。

 

費用の発生形態による分類

「製造原価」は、費用の発生形態により「材料費」「労務費」「経費」に分類されます。
さらに、「材料費」「労務費」「経費」は、「直接○○費」と「間接○○費」に分類されます。

 

分類 項目
材料費 直接材料費
間接材料費
労務費 直接労務費
間接労務費
経費 直接経費
間接経費

 

製品との関連性による分類

「製造原価」は、製品との関連性により「製造直接費」「製造間接費」に分類されます。
さらに、「製造直接費」は「直接材料費」「直接労務費」「直接経費」に、「製造間接費」は「間接材料費」「間接労務費」「間接経費」に分類されます。

 

分類 項目 説明
製造直接費 直接材料費 どの製品の製造にかかった費用なのかを判別できる費用
直接労務費
直接経費
製造間接費 間接材料費 どの製品の製造にかかった費用なのかを判別できない費用
間接労務費
間接経費

 

総合原価計算の場合による分類

「総合原価計算」の場合は「直接材料費」「加工費」に分類されます。
「加工費」とは、製品の「加工進捗度」に比例して発生する「製造原価」であり、「直接材料費」以外の「製造原価」は全て「加工費」に分類されます。

 

分類 項目
直接材料費 直接材料費
加工費 直接労務費
直接経費
間接材料費
間接労務費
間接経費

 

「総合原価計算」については、以下のページで詳細に説明していますので、アクセスしてみてください。

 

 

 

総合原価計算の製造原価については、上記以外に、「素価(直接材料費+直接労務費)」という分類が「平成20年度 第9問」に出題されましたが、「素価の捉え方によっては複数の選択肢が正解となり得る」という結論になり問題不適切と判断された経緯があるため、今後出題されることはないと推測されます。あくまで推測ですが。

 

材料費・労務費・経費の内訳

「製造原価」は、費用の発生形態により「材料費」「労務費」「経費」に分類されます。
さらに、「材料費」「労務費」「経費」は、「直接○○費」と「間接○○費」に分類されます。

 

材料費

「製造原価」を構成する「材料費」の内訳を以下に示します。

 

分類 項目 具体例
直接材料費 主要材料費 製品の主要な構成物となる物品の消費額(素材費、原料費に分類される)
買入部品費 製品の構成部品となる外部から購入した物品の消費額
間接材料費 補助材料費 製品の生産を間接的の補助する物品のうち受払記録が必要な物品の消費額
工場消耗品費 製品の生産を間接的の補助する物品のうち受払記録が必要でない物品の消費額
消耗工具器具備品費 製造に必要な工具、器具、備品の消費額

 

労務費

「製造原価」を構成する「労務費」の内訳を以下に示します。
「直接労務費」に分類されるのは、直接工による直接作業による費用のみに限定されます。

 

分類 項目 具体例
直接労務費 賃金(直接作業) 直接工の直接作業賃金
間接労務費 賃金(間接作業) 直接工の直接作業以外の賃金と間接工の賃金
給料 工場の監督者や事務職員の給与
雑給 パートタイマーやアルバイトの給与
従業員賞与・手当 工員や職員の賞与、家族手当、住宅手当、通勤手当など
法定福利費 工員や職員の健康保険、厚生保険に基づく社会保険料
退職給付費用 退職給付引当金繰入額

 

経費

「製造原価」を構成する「経費」の内訳を以下に示します。
「材料費」や「労務費」に該当しない費用は全て「経費」に分類され、「直接経費」分類されるのは外部の業者に材料の加工を委託した費用のみに限定されます。

 

分類 項目 具体例
直接経費 外注加工賃 外部の業者に材料の加工を委託した費用
間接経費 その他 福利施設負担額、厚生費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕費、光熱費などの諸経費

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成27年度 第6問】

原価計算に関する記述として最も適切なものはどれか。

ア 原価計算における総原価とは、製造原価を意味する。
イ 原価計算は、財務諸表を作成する目的のためだけに行う。
ウ 原価計算は、製造業にのみ必要とされる計算手続きである。
エ 材料費・労務費・経費の分類は、財務会計における費用の発生を基礎とする分類である。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

原価計算に関する知識を問う問題です。

 

(ア)不適切です。

「原価計算基準」の「第1章 4. 原価の諸概念」に以下の記載があります。

 

本ブログでも「H28-6-2 製造原価の構造(3)原価計算基準」で説明しています。

  • 全部原価とは、製造原価と販売費および一般管理費を合計したものである。

 

全部原価(総原価)は、「製造原価」と「販売費および一般管理費」で構成されています。

製造原価を構成する要素については「H29-10 製造原価の構造(1)」を確認してください。

 

(イ)不適切です。

「原価計算基準」の「第1章 原価計算の目的と原価計算の一般的基準」において、原価計算の目的について記載されています。原価計算には、財務諸表の作成以外にも様々な目的があります。

 

本ブログでも「H28-6-1 製造原価の構造(2)原価計算基準」で説明しています。

1.原価計算の目的
  • 財務諸表を作成するために必要な真実の原価を集計すること
  • 価格計算に必要な原価情報を提供すること
  • 経営管理者に対して原価管理に必要な原価情報を提供すること
  • 予算の編成ならびに予算統制のために必要な原価情報を提供すること
  • 経営の基本計画を設定するに当たり、これに必要な原価情報を提供すること

 

 

(ウ)不適切です。

原価計算は、製造業だけでなく、すべての業種において必要とされる計算手続きです。
「原価計算基準」の「序文(原価計算基準の設定について)」において、以下の通り記載されています。

 

したがって、企業が、その原価計算手続を規定するに当たっては、この基準が弾力性をもつものであることの理解のもとに、この基準にのっとり、業種、経営規模その他当該企業の個々の条件に応じて、実情に即するように適用されるべきものである。

出典元:原価計算基準(原価計算基準の設定について)

 

(エ)適切です。

「製造原価」は、「費用の発生形態」「製品との関連性」「総合原価計算の場合」などの観点から、分類方法が異なります。

「製造原価」は、費用の発生形態により「材料費」「労務費」「経費」に分類されます。
さらに、「材料費」「労務費」「経費」は、「直接○○費」と「間接○○費」に分類されます。

 

費用の発生形態による分類

分類 項目
材料費 直接材料費
間接材料費
労務費 直接労務費
間接労務費
経費 直接経費
間接経費

 

したがって、材料費・労務費・経費の分類は、財務会計における費用の発生を基礎とする分類であるため、選択肢の内容は適切です

 

答えは(エ)です。


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