今回は、「財務・会計 ~H28-13 企業の買収(1)~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成28年度一次試験問題一覧~
平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
企業の買収
企業買収には、新規事業への進出や新製品の開発に必要な技術を拡充したり、自社の弱みを効率的に補強できるというメリットがあります。
二次試験では買収する企業の企業価値を求めるという問題が出題される可能性があります。
実際には、中小企業は買収するより買収される可能性の方が高いため、買収されないためにどのような対抗策を取るべきか。という知識が必要となってきます。
「財務・会計」で問われることは少ないですが、「企業経営理論」でも出題される知識なので、覚えておいて損はありません。
買収の手法
TOB(Take Over Bid)
- 「株式公開買い付け」といいます。
- 大量の株式を短期間に取得するために、株式の買付数、価格、期間などの情報を公表して、買収する企業の株式を不特定多数の株主から株式市場外で買い集める手法です。
MBI(Management Buy In)
- 株式を取得して買収した企業に経営者を送り込む手法です。
- 敵対的な買収だけでなく、経営力に乏しい企業が外部から経営者を招へいすることを目的とする場合にも利用されます。
LBO(Leveraged Buy Out)
- 買収する企業の資産を担保に借入を行い、買収した後に資産の売却や事業の改善などを行うことでキャッシュフローを増やして借入を返済していく手法です。
- 「レバレッジ」とは、日本語では「てこの原理」のことを示しており、少ない資本で大きな資本の企業を手に入れるという意味で使われています。
EBO(Employee Buy Out)
- 企業の従業員が資金を出し合って、勤務先企業の株式を取得する手法です。
- 従業員が取得した株式を非公開株式にすることで、外部からの企業買収に対する対抗策とすることもできます。
MBO(Management Buy Out)
- 企業の経営陣が株主から自社の株式を取得したり、事業部門の事業譲渡を受ける手法です。
- 企業の事業承継に活用されたり、取得した株式を非公開株式にすることで、外部からの企業買収に対する対抗策とすることもできます。
試験問題
それでは実際の試験問題を解いてみます。
【平成28年度 第13問】
企業買収に関する略語の説明として最も適切なものはどれか。
ア KPIとは、同業他社の株価を参照することを通じて買収価格を決定したうえで、経営権の取得等を行うことである。
イ LBOとは、従業員が資金を出し合って、経営権の取得等を行うことである。
ウ MBO とは、金融機関が自身の資金によって経営権の取得等を行うことである。
エ TOB とは、不特定多数の者に対し、証券市場以外の場における株券の買付け等の勧誘を通じて経営権の取得等を行うことである。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
企業買収の略語に関する知識を問う問題です。
(ア)不適切です。
「KPI」とは、最終的な目標(KGI)を達成するために、その過程の達成状況を定量的に計測する中間指標のことです。企業の買収とは関係ありません。
(イ)不適切です。
「LBO」とは、買収する企業の資産を担保に借入を行い、買収した後に資産の売却や事業の改善などを行うことでキャッシュフローを増やして借入を返済していく手法です。
問題文に記載されている「従業員が資金を出し合って経営権の取得等を行う」手法は「EBO」です。
(ウ)不適切です。
「MBO」 とは、企業の経営陣が株主から自社の株式を取得したり、事業部門の事業譲渡を受ける手法です。
(エ)適切です。
「TOB」とは、株式の買付数、価格、期間などの情報を公表して、買収する企業の株式を不特定多数の株主から株式市場外で買い集める手法です。
答えは(エ)です。
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