財務・会計 ~H29-8-2 原価計算(総合原価計算)(2)~

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今回は、総合原価計算(2回目)です。

「平均法・先入先出法」と「途中や最後に材料を投入した場合」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成29年度一次試験問題一覧~

平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

平均法・先入先出法

総合原価計算で完成品と月末仕掛品に原価を按分する方法には、「平均法」と「先入先出法」の2種類があります。

ちなみに、前回の「H29-8-1 原価計算(総合原価計算)(1)」の例題は「平均法」の事例です。

今回の「先入先出法」の例題を比較して、「完成品原価」と「月末仕掛品原価」の金額が違うことを確認してみてください。

 

平均法

平均法は、月初仕掛品と当月着手した製造数量にかかった原価の合計額を「完成品」と「月末仕掛品」に数量比率で按分する方法です。

 

原価の按分イメージを以下に示します。

 

 

先入先出法

先入先出法は、月初仕掛品を完成させてから、新たな製品の製造に着手するという前提で、完成品と月末仕掛品に原価を配賦する計算する方法です。

 

  • 「月初仕掛品」の原価はそのまま「完成品原価」に移行
  • 「当月製造」の原価は「完成品」と「月末仕掛品」に数量比率で按分

 

原価の按分イメージを以下に示します。

 

 

例題(先入先出法)

月末仕掛品原価および完成品原価を求めよ。
なお、完成品と月末仕掛品への原価の配分方法は先入先出法を採用している。

(※)「生産データ」と「原価データ」は「総合原価計算(1)」の例題と同じです。

 

【生産データ】

材料はすべて工程の始点で投入している。
()内の数値は加工進捗度を示す。

  • 月初仕掛品 100個(80%)
  • 完成品 600個
  • 月末仕掛品 200個(20%)

 

【原価データ】

直接材料費 加工費
月初仕掛品原価 ¥260,000 ¥374,400
当月製造費用 ¥700,000 ¥2,520,000

 

考え方

「直接材料費」と「加工費」について、別々の原価ボックスを作成して原価を算出します。

 

直接材料費

直接材料費の原価ボックスは以下の通りです。
赤文字は、与えられた条件から計算して算出した数値です。

 

加工費

「月初仕掛品:100個(80%)」と「月末仕掛品 200個(20%)」という条件が与えられていますが、加工費は進捗度に比例して原価が発生するため、以下の数量分を製造済みであるとみなして考えます。

 

  •  月初仕掛品
    「100個×80%=80個」相当分を製造済み。
  •  月末仕掛品
    「200個×20%=40個」相当分を製造済み。

 

加工費の原価ボックスは以下の通りです。
赤文字は、与えられた条件から計算して算出した数値です。

 

 

答え

上記の「直接材料費」と「加工費」で算出された金額を合計すると答えは以下の通りです。

 

  • 完成品原価
    ¥260,000+¥500,000+¥374,400+¥2,340,000=¥3,474,400
  • 月末仕掛品原価
    ¥200,000+¥180,000=¥380,000

 


 

工程の途中や最後に材料を投入した場合

 

工程の一番最初に材料を投入する場合

製品を製造する工程の一番最初に材料を投入する場合は、加工進捗度に関わらず、工程の最初に100%の材料費が発生します。

 

 

工程の途中(50%時点)に材料を投入する場合

製品を製造する工程の途中(50%時点)に材料を投入する場合は、工程の50%の段階で100%の材料費が発生します。

 

 

工程の最後に材料を投入する場合

製品を製造する工程の最後に材料を投入する場合は、工程の100%の段階で100%の材料費が発生します。

 

 

例題(先入先出法/工程50%時点で材料を投入した場合)

月末仕掛品原価および完成品原価を求めよ。
なお、完成品と月末仕掛品への原価の配分方法は先入先出法を採用している。

 

【生産データ】

材料はすべて工程の途中(50%時点)で投入している。
()内の数値は加工進捗度を示す。

  • 月初仕掛品 100個(80%)
  • 完成品 600個
  • 月末仕掛品 200個(20%)

【原価データ】

直接材料費 加工費
月初仕掛品原価 ¥260,000 ¥374,400
当月製造費用 ¥700,000 ¥2,520,000

 

考え方

「直接材料費」と「加工費」について、別々の原価ボックスを作成して原価を算出します。

 

直接材料費

直接材料費の原価ボックスは以下の通りです。

 

  • 仕掛品の加工進捗度は80%のため材料を投入済み(材料費の原価が発生している)
  • 月末仕掛品の加工進捗度は20%のため材料を未投入(材料費の原価は発生していない)

 

赤文字は、与えられた条件から計算して算出した数値です。
月末仕掛品の加工進捗度が20%のため、材料は投入されていません。
つまり、投入したすべての材料費が完成品原価となります

 

 

加工費

条件の変更等はないため、上述の例題と同じ結果となります。

 

 

答え

上記の「直接材料費」と「加工費」で算出された金額を合計すると答えは以下の通りです。

 

  • 完成品原価
    ¥260,000+¥700,000+¥374,400+¥2,340,000=¥3,674,400
  • 月末仕掛品原価
    ¥180,000

 


二次試験で出題されることはそんなに多くないですが、総合原価計算は奥が深いです。

次回は、「H29-8-3 原価計算(総合原価計算)(3)」として一次試験の問題を解いてみます。

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