財務・会計 ~H29-8-1 原価計算(総合原価計算)(1)~

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今回は、「財務・会計 ~H29-8-1 原価計算(総合原価計算)(1)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成29年度一次試験問題一覧~

平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

総合原価計算

総合原価計算は、同じ製品を大量に生産する見込生産品に適用される原価計算方法です。

見込生産は製品の需要予測に対して必要な数量を大量に生産していくため、製品1個当たりの原価を個別に集計するのではなく、発生した原価を生産した数量で按分して製造原価を計算します。

中小企業診断士試験ではあまり意識しなくても大丈夫ですが、「総合原価計算」を活用した「標準原価計算」というものがありますので、その違いを以下に示します。

 

「標準原価計算」と「総合原価計算」は定義が違います。

標準原価計算では、製品1個当たりに設定した標準原価を元に「標準原価×生産数量」という計算式で製造原価を集計します。

また、標準製造原価により計算した結果と実際に発生した製造原価の差異を分析して、自社の材料調達の方法や製造ライン上の問題点を見つけ出して改善するために活用していきます。

 

 

 原価の分類

総合原価計算では、「製造原価」を「直接材料費」と「加工費」に分類します。

 

分類 項目
直接材料費 直接材料費
加工費 直接労務費
直接経費
間接材料費
間接労務費
間接経費

 

直接材料費・加工費の発生イメージ

総合原価計算は、「直接材料費」と「加工費」を集計して製造原価を算出しますが、「直接材料費」と「加工費」は加工進捗度に応じて発生する原価の考え方が異なります。

金属などの材料を最初に投入してから、徐々に加工して製品に仕上げていく工程をイメージすると分かりやすいかと思います。

 

直接材料費

製品を製造する工程の一番最初に材料を投入する場合は、加工進捗度に関わらず、工程の最初に100%の材料費が発生します。

(※)材料を投入するタイミングが異なる場合はこの通りではありません。(「総合原価計算(2)」で説明。)

 

 

加工費

直接材料費以外の加工費は、加工進捗度に比例して発生します。

 

 

仕掛品と完成品

もう一つ総合原価計算を理解するために、必要な知識として「仕掛品」と「完成品」いう言葉がありますので、以下に簡単に示します。

 

  • 仕掛品:製造中の製品
  • 完成品:製造完了した製品

 

原価ボックス

総合原価計算では、原価を算出するために以下のボックスを活用します。
試験問題を解く場合は、必ず原価ボックスを書いて確認を行いましょう。

 

 

まずは、左側のボックス(先月)を見てみましょう。
先月は左側の列に記載している「当月製造数量」を製造して、右側の列に記載している「完成品」と「月末仕掛品」を製造しました。

続いて、右側のボックス(今月)を見ていくと、先月の「月末仕掛品」は今月の左上に「月初仕掛品」として繰り越され、再び「当月製造数量」を製造して、「完成品」と「月末仕掛品」を製造しました。

以降、これがひたすら繰り返される。というのが総合原価計算です。

試験問題で出題されるのは右側のボックスのパターンが多いので、以下の説明では右側のボックスだけを使用します。

例題(平均法)

月末仕掛品原価および完成品原価を求めよ。

 

【生産データ】

材料はすべて工程の始点に投入している。
()内の数値は加工進捗度を示す。

  • 月初仕掛品 100個(80%)
  • 完成品 600個
  • 月末仕掛品 200個(20%)

 

【原価データ】

直接材料費 加工費
月初仕掛品原価 ¥260,000 ¥374,400
当月製造費用 ¥700,000 ¥2,520,000

 

考え方

「直接材料費」と「加工費」について、別々の原価ボックスを作成して原価を算出します。

直接材料費

直接材料費の原価ボックスは以下の通りです。
赤文字は、与えられた条件から計算して算出した数値です。

 

加工費

「月初仕掛品:100個(80%)」と「月末仕掛品 200個(20%)」という条件が与えられていますが、加工費は進捗度に比例して原価が発生するため、以下の数量分を製造済みであるとみなして考えます。

 

  •  月初仕掛品
    「100個×80%=80個」相当分を製造済み。
  •  月末仕掛品
    「200個×20%=40個」相当分を製造済み。

 

加工費の原価ボックスは以下の通りです。
赤文字は、与えられた条件から計算して算出した数値です。

 

 

答え

上記の「直接材料費」と「加工費」で算出された金額を合計すると答えは以下の通りです。

 

  • 完成品原価
    ¥720,000+¥2,713,500=¥3,433,500
  • 月末仕掛品原価
    ¥240,000+¥180,900=¥420,900

 


二次試験で出題されることはそんなに多くないですが、総合原価計算は奥が深いです。

次回は、「H29-8-2 原価計算(総合原価計算)(2)」として、「平均法・先入先出法」と「工程の途中や最後に材料を投入した場合」について説明します。

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