今回は、「財務・会計 ~H29-18/H28-16 配当割引モデル(1)~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成28/29年度一次試験問題一覧~
平成28/29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
配当割引モデル -リンク-
本ブログにて「配当割引モデル」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- R3-21 配当割引モデル(4)
- H26-19 配当割引モデル(2)
- H26-20-3 企業価値(2)DCF法
- H24-16 加重平均資本コスト(WACC)(5)
- H23-20-2 配当割引モデル(3)
- H22-14-1 企業価値(5)株主資本収益率
配当割引モデル
「配当割引モデル」とは、将来支払われる配当の現在価値の合計が株式の本質的価値であるとして、「配当」と「株主の期待収益率」から「理論株価」を算出する方法のことをいいます。
「配当割引モデル」には、毎年一定の割合で配当額が成長するという仮定をおいた「定率成長配当割引モデル」と、毎年一定の配当額が支払われるという仮定をおいた「定額配当割引モデル(ゼロ成長モデル)」があります。
定率成長配当割引モデル
「定率成長配当割引モデル」とは、毎年一定の割合で配当額が成長するという仮定をおいた配当割引モデルのことをいいます。
「定率成長配当割引モデル」では、以下の公式により「理論株価」を算出します。
定額配当割引モデル(ゼロ成長モデル)
「定額配当割引モデル(ゼロ成長モデル)」とは、毎年一定の配当額が支払われるという仮定をおいた配当割引モデルのことをいいます。
「定額配当割引モデル(ゼロ成長モデル)」では、以下の公式により「理論株価」を算出します。
試験問題(平成29年度 第18問)
それでは、実際の問題を解いてみます。
【平成29年度 第18問】
当社の前期末の1株当たり配当金は120円であり、今後毎年2%の定率成長が期待されている。資本コストを6%とすると、この株式の理論価格として、最も適切なものはどれか。
ア 2,400円
イ 3,000円
ウ 3,060円
エ 3,180円
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答(平成29年度 第18問)
「配当割引モデル」に関する知識を問う問題です。
「当社の前期末の1株当たり配当金は120円であり、今後毎年2%の定率成長が期待されている」ため、「配当割引モデル(定率成長配当割引モデル)」により株式の「理論価格」を算出します。
この問題では「前期末の1株当たり配当金」が与えられていますが、「配当割引モデル(定率成長配当割引モデル)」では、1年後の配当金を使用するため、「前期末の1株当たり配当金」に「2%の定率成長率」をかける必要があります。
- 株式の理論株価 =( 120 円 × 1.02 )÷( 6% - 2% )= 3,060円
答えは(ウ)です。
試験問題(平成28年度 第16問)
続いてもう1問、過去の問題を解いてみます。
【平成28年度 第16問】
1年後の配当は105千円、その後毎年3%の成長が永続することを見込んでいる。割引率(株主資本コスト)が年5%である場合、配当割引モデルに基づく企業価値の推定値として最も適切なものはどれか。
ア 1,575千円
イ 2,100千円
ウ 3,500千円
エ 5,250千円
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答(平成28年度 第16問)
「配当割引モデル」に関する知識を問う問題です。
「1年後の配当は105千円、その後毎年3%の成長が永続することを見込んでいる」ため、「配当割引モデル(定率成長配当割引モデル)」により「企業価値」を算出します。
- 企業価値(理論株価)= 105千円 ÷( 5% - 3% )= 5,250千円
答えは(エ)です。
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